健康的で引き締まった体を作るためには、体脂肪を減らすことが重要です。
しかし、食事制限を試みても、思うように体脂肪が減らず、悩んだ経験のある方も多いでしょう。
この記事では、体脂肪についての基礎知識や、体脂肪率を減らす食事や運動のポイント、ダイエット中に気をつけるべき注意点を解説しています。
体脂肪を減らしてスッキリとした体を手に入れたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
医療の力で体脂肪を落とす!
目次
体脂肪の種類と特徴
体脂肪とは、体の中にある脂肪の総称のことです。
脂肪は体の機能を維持するために欠かせない要素のひとつであり、細胞膜を構成したり、体温を維持するなど、さまざまな役割を担っています。
体脂肪には適切な量があり、多すぎても少なすぎても体に負担をかけてしまいます。
体重に占める体脂肪の割合をパーセンテージで表したものが、「体脂肪率」です。
ダイエットを始める際には、目標として体重を設定する人が多いかもしれません。
しかし、健康的に痩せるには、体重だけでなく体脂肪率を減らすことが重要であることを把握しておきましょう。
また体脂肪には次の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
- 皮下脂肪
- 内臓脂肪
それぞれについて解説します。
内臓脂肪
内臓脂肪はお腹の内臓の周囲につく脂肪のことです。
胃や腸、肝臓などの臓器の周囲に蓄積し、お腹の周りがぽっこりとした「りんご型肥満」になりやすい特徴があります。
食べ過ぎや運動不足、ストレスなどにより貯まりやすく、高血圧や高脂血症など、生活習慣病と密接に関わっています。
皮下脂肪と比較してつきやすく、減らしやすいことも特徴です。
皮下脂肪
皮下脂肪とは、皮膚の下の皮下組織に溜まる脂肪です。
長期間をかけて少しずつ蓄積され、体を刺激から守るクッションとしての役割や、体温を維持する働きがあります。
お尻や太ももなどの下半身、お腹周り、二の腕など、筋肉をあまり使わない部分につきやすい脂肪です。
内臓脂肪のりんご型肥満と比較し、皮下脂肪の多い肥満体型は「洋なし型肥満」と呼ばれます。
また、皮下脂肪は一度ついてしまうと落とすのが難しいという特徴もあります。
体脂肪率を減らす食事のポイント6つ
ここからは、体脂肪率を減らすために必要なダイエットのポイントや、効果的な方法を具体的に紹介します。
体脂肪とは、食事から摂取した過剰なエネルギーが脂肪に変わり、体内に蓄積されたものです。
食事の工夫をすることで、体脂肪が新たに蓄積されることを防ぎ、落としやすくすることが可能です。
まずは、体脂肪率を減らす食事のポイントを解説します。
「摂取カロリー」<「消費カロリー」を意識する
体脂肪を減らすためには、摂取カロリーを消費カロリーより減らすことが重要です。
摂取したカロリー以上のエネルギーを活動に使うことにより、不足したエネルギーを補うため、脂肪が分解されるためです。
たとえば体重53kg、30歳〜49歳の女性であれば1日の基礎代謝量はは約1,150kcal、運動量が少なければ、1日の消費カロリーは1500kcal程度です。
基礎代謝を大きく変化させることは難しいですが、身体活動量を増やせば増やすほど、1日の消費カロリー増やすことが可能です。
自身が消費するおおよそのカロリー量を把握し、1日に摂取する食事のカロリーを設定しましょう。
参考:身体活動とエネルギー代謝 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
加齢とエネルギー代謝 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
たんぱく質の多いメニューを選ぶ
たんぱく質は、筋肉をはじめとする体の組織を構成する重要な栄養素です。
食事からたんぱく質を十分に摂取しながら運動をすることで、筋肉の強化につながります。
さらに、筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、体脂肪を分解してエネルギーを消費しやすい体質に近づきます。
体脂肪を減らすためには、高たんぱく、低脂質な食材を意識して取り入れましょう。
- ささみ
- 鶏胸肉
- 赤身肉
- ヒレ肉
- 羊肉
- 卵
- 豆類
- マグロ
- カツオ など
上記を参考に、さまざまな食品を食事に取り入れましょう。
糖質を摂りすぎない
糖質を摂りすぎないよう注意しましょう。
米やパンなど、主食に多く含まれる糖質は、体に必要なエネルギー源です。
しかし、過剰に摂取すると、使用されなかったエネルギーが体内に脂肪として蓄積されてしまいます。
また、糖質を多量に摂取すると血糖値が上がり、それを下げるために膵臓から「インスリン」が分泌されます。
インスリンには、過剰な糖分を脂肪として蓄える働きがあるのです。
ダイエット中には、糖質を摂りすぎないように麺類や丼ものなど、炭水化物が中心の食事は避けることをおすすめします。
脂質の多い食事を避ける
脂質は、体を構成する重要な栄養素のひとつです。
しかし、必要以上に摂りすぎてしまうと、摂取したエネルギーを消費し切れず、体脂肪として体に蓄えられてしまいます。
また、脂質を摂りすぎることにより血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールを増やし、健康に悪影響を与えることもあります。
脂身の多い肉類やナッツ類、乳製品などの摂りすぎには注意しましょう。
一方、体によい働きをする脂質もあります。
魚介類に多く含まれる「不飽和脂肪酸」は血液中のコレステロールや中性脂肪を下げる働きのある油です。
現代人は不足しやすいため、積極的に摂取することが推奨されています。
ただし、どの脂質も高エネルギーであることには変わりありません。
摂りすぎには注意が必要です。
食物繊維を摂取する
体脂肪を減らすには、食物繊維を積極的に摂取することが大切です。
食物繊維は、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類に分類されます。
水に溶けやすい水溶性食物繊維は、糖質の吸収を穏やかにし、血糖値の上昇を抑えます。
血糖値の変動が緩やかになれば、インスリンの分泌量が減り、体脂肪の蓄積を減らすことにつながるでしょう。
不溶性食物繊維は、便の量を増やすことにより腸を刺激し、便秘の解消に役立ちます。
野菜や果物、きのこ類、海藻類など、食物繊維が豊富な食品を毎日の食事にバランスよく取り入れてみてください。
水分をこまめにとる
ダイエット中には、こまめに水分を取ることが重要です。
水分をしっかりと補給することにより、血流が改善し、代謝が上がります。
水分摂取は便秘の改善にも効果的です。
効率よくダイエットをしたい方は、1日に2リットルを目標に水分を摂取しましょう。
摂取する水は、体を冷やす冷水を避け、常温の水か白湯を選ぶことをおすすめします。
体脂肪率を減らす運動のコツ4つ
体脂肪を燃やすためには、運動も重要です。
体脂肪率を減らす運動のコツを紹介します。
有酸素運動で脂肪を燃やす
有酸素運動とは、軽度〜中等度の負荷を筋肉にかけ続けることで、酸素と糖分、脂肪を消費する運動のことです。
脂肪を燃焼するため、体脂肪の減少に効果的です。
さらに、血液中のコレステロール値や血糖値、血圧を改善する効果も期待できます。
有酸素運動の効果を実感するためには、1日に20分以上続けることがポイントです。
- ウォーキング
- ジョギング
- 水泳
- 縄跳び
- 踏み台昇降
- ダンス など
さまざまなバリエーションがあるので、自分自身のライフスタイルに合った運動を続けてみましょう。
筋トレで筋肉を強化する
筋トレで筋肉量を増やすこともおすすめです。
筋肉量が増えると基礎代謝が自然と上がり、普段消費するエネルギーを増やすことが可能です。
基礎代謝が上がると体が太りにくい体質へと変化し、リバウンドしにくくなるというメリットもあります。
効率よく代謝を上げたい場合には、大きな筋肉が多い下半身を鍛えるとよいでしょう。
自宅でいつでも取り組める「スクワット」から始めるのがおすすめです。
運動を習慣化する
運動は、習慣化することが大切です。
普段の生活に運動を組み込んで習慣化できれば、運動自体のハードルが下がり、強度や回数をアップしやすくなるためです。
たとえば、電車やバスを使って通勤や通学をしている方は、1駅分ウォーキングするように決めれば毎日の通勤時間に運動を取り入れられます。
ジムでの運動が好きな方は、仕事帰りにジムへ行く習慣を作るのもよいでしょう。
無理なく続けられるような工夫を探してみてください。
こまめに動くよう心がける
普段からこまめに動くように心がけるようにしましょう。
たとえば、駅やお店、職場などではエスカレーターやエレベーターを使わず、階段を使って移動すれば運動量が増えます。
また、家で過ごす日であったも、普段より少し張り切って掃除をする、座っている時間を減らすなど、体を積極的に動かす工夫をしてみることをおすすめします。
運動や身体活動の強度を図る単位として「メッツ(METs)」が使われます。
静かに座っている状態を1とし、何倍のエネルギーを消費するかにより、活動の強度を示す数値です。
- 安静時:1.0METs
- 普通歩行:3.0METs
- 階段を降りる:3.5METs
- 階段を登る:4METs
- 掃除機がけ 3.5METs
- お風呂掃除 3.8METs
- 庭掃除 4.0METs
- 床掃除 5.3METs
普段の少しの心がけで、消費するエネルギーを増やすことができるのです。
ダイエットで目指すべき体脂肪率の数値
健康的にダイエットを進めるためには、体重だけでなく体脂肪率の把握が大切です。
ダイエットを始めるにあたり、現在の体脂肪率を計算し、適切な目標を定めましょう。
現在の体脂肪率の計算方法
現在の体脂肪率は、次の計算で導くことができます。
体脂肪の量は、家庭用の体組成計(体脂肪計)で簡単に測定できます。
体脂肪の値は体内の水分量により変動しやすいため、食後2時間以上空けた状態で測定しましょう。
また、体脂肪率の変動を知りたい場合には、毎日同じタイミング、同じ時刻で測定するようにすることをおすすめします。
体脂肪率の目標値の決め方
現在の肥満度を客観的に把握し、体脂肪率の目標を決めましょう。
一般的に健康的と言われる体脂肪率は、男性では10〜19%、女性は20〜29%です。
また、現在の体型の肥満判定を行うには国際指数である「BMI(Body Mass Index:体格指数)」も参考になります。
日本肥満学会では、肥満判定の基準としてBMIを採用しており、BMI=22が標準体重、BMI=25以上と定めています。
BMIの計算方法は以下のとおりです。
「肥満症診療ガイドライン2016」では、BMI 25~35の肥満症の治療目標として、3~6ヶ月で体重の3%の減量を目標とすることが推奨されています。
健康的に理想の体型に近付けるためにも、現在の自分の体脂肪率やBMIをきちんと把握し、無理のない適正な数値を目指しましょう。
体脂肪率を減らすと得られるメリット
体脂肪率を減らすための具体的な食事や運動のポイントを紹介してきました。
ここからは、実際に体脂肪が減ると、どのようなメリットが得られるのか解説します。
基礎代謝が上がる
体脂肪率が高いと、体重のなかでも皮下脂肪や内臓脂肪の占める割合が高く、筋肉量が少ない状態です。
運動しなくても消費するエネルギー量である基礎代謝は、筋肉量に比例して上がります。
体脂肪を減らして筋肉量を増やすことができれば、基礎代謝が上がり、太りにくく痩せやすい体へと近づけることが可能となります。
美しい見た目へと変化する
内臓脂肪はお腹周りにつきやすく、お腹がぽっこりと出て目立ちます。
皮下脂肪は下半身を中心につきやすく、垂れ下がった締まりのない体に見えてしまいます。
一方、体脂肪が少ない状態の体は、細く引き締まり、美しく健康的です。
理想の体型になることで自分に自信が持てるでしょう。
健康的になる
メタボリックシンドロームの診断基準では、ウエストの周囲の大きさ、つまり内臓脂肪の蓄積の程度が必須項目とされています。
参考:メタボリックシンドロームの診断基準 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
体脂肪が多いからといって、すぐに体調が悪くなるわけではありません。
しかし、体脂肪率を適切に減らし、健康的な状態で過ごす方が病気になる可能性は低くなるでしょう。
体脂肪率を減らす際の注意点
ダイエットで体脂肪率を安全に減らすためには、注意すべきポイントがあります。
- ペース配分に気をつける
- 極端な食事制限をしない
- 体脂肪を落としすぎない
それぞれ解説します。
ペース配分に気をつける
体脂肪を減らすために、食事の工夫や運動に取り組む際には、ペース配分に気をつけましょう。
無理をして急激にダイエットをしようとすると、体が飢餓状態になりリバウンドしやすくなったり、体調を崩してしまったりする危険性があるためです。
ダイエットは、頑張ったとしても1ヶ月に体重の5%以内の減量にとどめることをおすすめします。
正しい方法で続けていけば体型は少しずつ確実に変化していきます。
極端な食事制限をしない
体脂肪率を減らすためには、食事からの摂取カロリーを減らすことは大切です。
しかし、極端な食事制限はしないようにしましょう。
過度な制限食は、体に必要な栄養素が不足する可能性が高いためです。
食事の工夫をする場合は、高たんぱく質、低脂質を心がけつつ、栄養バランスの整った献立を考えましょう。
体脂肪を落としすぎない
体脂肪は、落とせば落とすほどよいというものではありません。
脂肪は、エネルギーを貯蔵することのほかにも、体温を維持したり、体の組織を構成したりなど、重要な役割を担っています。
体脂肪を落としすぎてしまうと、体調を崩してしまう可能性もあるのです。
健康的と言われる体脂肪率、男性で10~19%、女性で20~29%を目安にしましょう。
まとめ
この記事では、体脂肪についての基礎知識や、体脂肪率を減らす食事や運動のポイント、ダイエット中に気をつけるべき注意点を解説しました。
ポイントをおさらいします。
- 「摂取カロリー」<「消費カロリー」を意識する
- たんぱく質の多いメニューを選ぶ
- 糖質を摂りすぎない
- 脂質の多い食事を避ける
- 食物繊維を摂取する
- 水分をこまめにとる
- 有酸素運動で脂肪を燃やす
- 筋トレで筋肉を増やす
- 運動を習慣化する
- こまめに動くよう心がける
体脂肪率の変化は、すぐに現れるものではありません。
しかし、取り組みを習慣化し続けることにより、少しずつ見た目にも変化が出てきます。
無理のないペースでダイエットを継続し、健康的な体を手に入れましょう。