空腹のピークを過ぎると食欲がおさまるメカニズムと体への7つの影響

「食事を終えたばかりなのに、なぜか空腹感がおさまらない」
「お腹が空いたけどダイエット中だから我慢しなきゃ」
そういった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

ダイエットを成功させる為には、食事制限をして摂取カロリーをコントロールすることは大切です。
しかし、極端な食事制限で空腹を我慢しすぎるとダイエットに悪影響を与えることもあります。

ダイエット成功のカギは、食生活を見直すことで空腹感を上手くコントロールして、適切な食事管理をすること。
本記事では、空腹感を我慢すると起こる悪影響や空腹感を抑える食事テクニックを詳しく紹介しています。
下記で紹介している内容を参考に、空腹感を上手にコントロールして理想の体型を目指していきましょう。

空腹のピークを過ぎると食欲がおさまるメカニズム

空腹のピークを過ぎると食欲がおさまるメカニズム
私たちが空腹を感じ、ピークを迎えた後に徐々に空腹感が自然におさまるのは、血糖値の変化が影響しているとされています。
始めに、空腹を感じてから自然におさまるまでのメカニズムについて解説していきます。

1.空腹感は身体からの「SOS」サイン

空腹を感じるのは体内のエネルギーが不足しているという、身体からのSOSサインです。

私たちの体にエネルギー不足が起こると、脳の視床下部にある「摂食中枢」から信号が送られ、エネルギーを摂取するよう促します。
お腹が空いたと感じるのは、この摂食中枢の働きが影響しています。

反対に「お腹が膨れたから食事をやめよう」と、満腹感を感じるのは満腹中枢の働きによるものです。
つまり、空腹を感じる摂食中枢と満腹を感じる満腹中枢の働きによって食欲のコントロールをしているということです。

2.グリコーゲンを糖に変える

摂食中枢がエネルギー不足を感じると、体は食べ物がなくても他の方法でエネルギーを確保しようとします
日常生活ですぐに食事を取れない時もありますが、その場合、体はエネルギー不足にならないように対処します。
この対処法の一つが、体内に蓄えられているグリコーゲンを使うことです。

グリコーゲンは、グルコース(ブドウ糖)という糖を長く連結させた大きな分子で、主に筋肉や肝臓に蓄えられています。
普段、血液中にグルコースが豊富にあるときは、体はこれをグリコーゲンとして蓄えます。
しかし、食事ができない時やエネルギーが不足しているときは、この蓄えたグリコーゲンを分解してグルコースとして血液に放出し、体のエネルギー源として使います。

これにより、食事が摂れない状況でも体は必要なエネルギーを確保できるのです。

3.血糖値が上がり食欲が落ち着く

空腹を感じ、ピークを迎えた後に空腹感が自然とおさまっていくのは血糖値が上昇したためです。
血液中の糖の量が低下し、空腹のピークを迎えるとグリコーゲンを分解して、グルコースを血液に送り込みます。
そうすることで血液中に糖が供給され、血糖値が上昇することで空腹感がおさまり、食欲が落ち着くというわけです。

空腹を我慢すると起こるカラダへの7つの影響

空腹を我慢すると起こるカラダへの7つの影響
「ダイエットは空腹を我慢すること」だと考えている人も多いはず。
たしかにダイエットにおいて食事の管理はとても重要な役割を果たしています。
しかし、過度な食事制限で空腹を我慢しすぎるとダイエットに悪影響を及ぼすばかりか、身体を壊す原因ともなります。

空腹を我慢することで起こる主な悪影響は以下の7つです。

  • ストレスで自律神経が乱れる
  • 集中力を低下させる
  • 体重増加のリスク
  • 基礎代謝の低下
  • 満腹感を感じにくくなる
  • 便通の悪化
  • 過食

順番に詳しく解説していきます。

ストレスがたまり、自律神経のバランスが崩れる

「食べたいけどダイエットの為に我慢する」
このような状況が続くことで徐々にストレスがたまり、自律神経の乱れを引き起こします
そして自律神経の乱れは胃や腸、消化器官の働きに悪影響を与え、太りやすくなってしまうだけでなく、不眠やうつ病などに繋がることもあります。

つまり、空腹を我慢しすぎるとストレスから自律神経のバランスが崩れ、心や身体を壊してしまう可能性があるという事です。
以下のポイントを意識して、ストレスを溜め過ぎない工夫をしましょう。

  • 過度な食事制限はやめて、適度な運動と食事管理によるダイエットを目指す
  • たまにはチートデイを取り入れる
  • 自分なりのストレス発散方法を見つける

低血糖によって、集中力が低下する

空腹感を我慢したまま長時間食事を摂らないと、低血糖になる恐れがあります

脳が正常に働くためには糖分が重要なエネルギーとしての役割を果たしています。
しかし、血糖値が低下し血液中の糖が不足すると、脳に必要なエネルギーがまわらなくなってしまいます。
そのため空腹を我慢し続けていると、低血糖によって集中力や判断力が低下する事があります。

糖質が不足した状態での食事は、体重増加しやすくなる

空腹を長時間我慢すると、体は糖質不足に陥ります。

糖質が不足すると、体は食事からの糖質や脂質をより効率的に吸収しようとします。
その結果、普段と同じ量の食事をしても、体がこれらの栄養素を積極的に取り込むため、太りやすくなるのです。

特に食事を飛ばしたり、食事の間隔が長く空腹状態が続いた場合、この吸収率の上昇は顕著になり、同じ量の食事でもより体重増加につながりやすくなります。

筋肉が減少し、痩せにくい体質になる

空腹を感じてもなかなか食事を摂らないと、体内の栄養が足りなくなるので筋肉を分解してエネルギーに変換します。
このような状況が続いてしまうと、当然筋肉量が減少していきます。

筋肉量の減少は基礎代謝に大きく影響を与えます。
そのため空腹を我慢し過ぎたり、食事を抜くことを日常的に行うと基礎代謝が低下し痩せにくい体質になるということです。

満腹感を感じる能力が低下し、満足感を感じにくくなる

空腹を感じても我慢する状況を日常的に続けていると、食事での満足感が低下してしまうことで食べ過ぎに繋がるケースもみられます。
これは空腹を我慢する習慣があると、満腹中枢の感度が下がってしまうことが影響しています。

十分な食事をしても満腹中枢の感度が低いと、満足感が得られないので食べる量が増えてしまいます。

栄養不足により、便秘が起きやすくなる

空腹を我慢するあまり、栄養が不足すると腸内環境が乱れる原因となり、便秘が起こりやすくなることもあります。
特に食物繊維など重要な栄養が不足することで、便秘に繋がるケースは珍しくありません。

また空腹を我慢していると胃や腸、消化器官の働きに悪影響を与えることも便秘の原因となります。
ダイエットや美容において便秘は大敵です。
便通改善の為にも、空腹感を我慢し過ぎるのはやめましょう。

ストレスが増えると、過度な飲食に走りやすくなる

多くの人が「お腹が空くとイライラする」という経験をお持ちではないでしょうか。
そうした空腹時のストレスはホルモンバランスを乱してしまい、過度な飲食に走りやすくなる原因となります。

例えば「グレリン」と呼ばれるホルモンは、食欲を増幅させる働きをもっています。
グレリンはストレスを感じると過剰に分泌されるため、ホルモン量が増加します。

つまりストレスによって「食べたい」という欲求が止まらなくなり、食べ過ぎる原因となるというわけです。

ダイエット中に空腹を管理する7つの食事テクニック

ダイエット中に空腹を管理する7つの食事テクニック

上記では空腹を我慢しすぎるとおこる悪影響について解説させて頂きました。
とはいえ空腹を感じてもすぐに食事できない環境は日常的によくある光景で、我慢しなくてはならない状況にある人の方が多いのではないでしょうか。

実は食べ方を意識して食事をするだけで空腹感を上手にコントロールする事も可能です。

空腹の管理におすすめしたい「食事テクニック」は以下の7つです。

  • 一日の食事を小分けにする
  • 食物繊維と質の良い健康的な脂質を摂取する
  • 栄養バランスの整った食事
  • ゆっくり噛んで時間をかけて食事をする
  • おやつには低GI食品
  • こまめな水分補給
  • 食べる順番を意識する

どのテクニックも意識するだけで簡単にできるので、日々の食事に積極的に取り入れていきましょう。
それでは詳しく順番に解説していきます。

一日の食事を小分けにして食べる

一度の食事でたくさん食べると、急激な血糖値の変化が起こるためインスリンが過剰に分泌されて、食べた後に空腹を感じやすくなります。
そのため一日の食事回数を増やすことで、1回あたりの食事量を減らし、血糖値が急上昇するのを防ぐことが大切です。

具体的には「1日3食」で満腹感が持続しない人は食事を「1日5食」に変えてみましょう。
ただし食事回数が増えた分、摂取カロリーが増えすぎないように1回の食事の量を調整する必要があるので注意しましょう。

食物繊維と健康的な脂質を摂取する

満腹感が持続しない理由として食物繊維や脂質が不足していることも考えられます。

食物繊維は便秘の予防をはじめ、胃や腸の調子を整える効果があるだけでなく、血糖値上昇を抑制する効果ももっています。
またダイエットで敬遠されがちな「脂質」ですが、実は腹持ちが良く非常に効率の良いエネルギーになります。

つまり食物繊維と脂質が不足すると空腹を感じやすくなってしまいます。
「食物繊維」と「健康的な脂質」を多く含む食材を積極的に取り入れていきましょう。
ただし脂質の摂り過ぎは肥満の原因ともなり得るので注意が必要です。

栄養バランスの整った食事を意識する

栄養バランスに偏りがあると、血糖値が安定しないので空腹を感じやすい原因となる場合があります。
そのため1食ごとに栄養バランスのとれた食事を意識することが大切です。

特に「野菜、たんぱく質、炭水化物、脂質」のバランスを重視したメニューを取り入れることで満足感が得られ、空腹を感じにくくなります。

食べ物をゆっくり噛んで、食事に時間をかける

満足感の高い食事をするためには、ゆっくりとよく噛んで時間をかけて食べることが大切です。

食べ物をよく噛んでゆっくり食べる事で、以下の2つの効果が期待できます。

  • 唾液の分泌を促進して、食べた物の消化を助ける
  • 噛むことで満足感を得やすく、食べ過ぎを防止する

食事により血糖値が上昇して満腹感を得るには、食べ始めてから15〜20分かかると言われています。
そのため早く食べると満腹感がなかなか得られず、食べ過ぎる原因となってしまうのです。

また「早食い」や「よく噛まない」といった食事方法は血糖値を急上昇させる原因となりますので控えるようにしましょう。

間食は血糖値をゆるやかに上げる低GI食品を選ぶ

「ダイエット中だけどおやつが食べたい」
そんな時は低GI食品を取り入れてみましょう。

ダイエット成功には食事管理が欠かせませんが、過度な我慢はダイエットに逆効果を与える原因になります。
その為どうしても空腹感がおさまらない場合には、低GI食材を使った間食を選ぶのがおすすめです。

低GI食品は糖として吸収されにくく、血糖値の急上昇を防ぐ効果があります。
おすすめの低GI食品は以下の通りです。

  • 穀物:玄米、そば など
  • 野菜:きゅうり、とまと、ブロッコリーなど
  • 果物:りんご、バナナなど
  • その他:卵や牛乳、大豆、ヨーグルト(無糖)など

低GI食品を取り入れて自分でおやつを作るのも良いですが、時間が無い人はコンビニやスーパーでも「低GI」のおやつが手軽に購入できるのでおすすめです。

こまめに水分を補給する

空腹を感じるときには体内の水分が不足していることも考えられます。
水分が不足していると、水分を補給するように指令を出します。
しかし水分は食べ物にも含まれているため、空腹として感じることがあります

特にダイエット中は「運動」や「食事管理」により、水分が不足しやすくなりますので意識して水分補給するようにしましょう。
こまめに適切な量の水分を補給することで、空腹感を和らげることが可能です。

食べるものの順番を考え、消化しやすいものから食べる

空腹を管理する為には食べる順番を意識する事がとても重要です。
食事の時に空腹感を抑えようと、ご飯を一気に食べるなどの行為は血糖値の急上昇を招き、食べ過ぎや満足感の低下に繋がるので控えましょう。

血糖値の急上昇を防ぎ、満足感の高い食事方法を目指すのであれば以下の順番で食べるのがおすすめです。

  1. 野菜類(サラダなど
  2. タンパク質(肉、魚など)
  3. 炭水化物(ごはんやパスタなど)

空腹感を上手に管理するために大切なのは、まず野菜から食べる「ベジファースト」を意識して、正しい順番で食事する習慣にしていくことです。

空腹時に脂肪が燃えるメカニズム

「空腹時に脂肪が燃える」の真実
空腹時に運動をすることで脂肪が燃えやすくなります。
脂肪が燃えるメカニズムは下記の通りです。

空腹時に脂肪が燃えるメカニズム
  • 1.空腹のサインが出される
  • 2.血糖値の低下に反応する
  • 3.蓄積された中性脂肪が分解される

脳細胞が血糖値の低下を感知すると、空腹のサインが出されます。
脳細胞は糖しかエネルギー源として利用できないため、食事の命令を出して必要な分を補おうとします。
空腹を感じて30分以上経過しても糖が補給されないと、体内で蓄積された中性脂肪を少しずつ分解してエネルギーの代わりにするのです。
食事の命令を出しても必要なエネルギー源が補給されないため、体内で糖を作り出して血糖値を上げようとします。
ここで空腹の時間が30分以上続くと、体内で中性脂肪を分解するため脂肪が燃えるきっかけになります。
つまり、空腹時に脂肪が燃えるのは、脳に必要なエネルギーが補給されないからということです。

まとめ

まとめ
本記事では「空腹感を我慢しすぎると起こる悪影響」や「空腹感を抑える為の食事テクニック」について詳しく紹介してきました。
空腹を我慢しすぎると身体にさまざまな悪影響が起こるため、上手に空腹感をコントロールしていくことが重要です。

ダイエットにおいても無理して我慢しすぎると痩せないどころか、逆に太りやすくなってしまうこともあります。
今回紹介した食事テクニックを活用して、無理せず空腹感を抑えて快適なダイエット生活にしていきましょう。