GLP-1受容体作動薬の一覧と作用機序|注射薬と飲み薬の違いを解説

2024/11/02 2024/12/20

糖尿病治療に用いられる「GLP-1受容体作動薬」。
これはインスリン分泌を促して血糖値を下げる効果を期待きるお薬です。
食欲抑制効果もあるため減量目的でも使用されますが、あくまで対象は糖尿病患者さんです。

こちらの記事では、GLP-1受容体作動薬の特徴、作用の仕組み、副作用、主な種類について解説しています。

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GLP-1受容体作動薬とは

GLP-1受容体作動薬とは
GLP-1受容体作動薬とは、体内のホルモン「GLP-1」の分泌を誘導し、インスリン作用を助けて血糖値を下げる糖尿病治療薬です。
膵臓の機能が低下してインスリンが出にくくなっている糖尿病患者さんがGLP-1受容体作動薬を摂取することで、血糖値が下がりやすくなります。

GLP-1受容体作動薬は脳の満腹中枢に働きかけて食欲を抑制する効果もあるため、減量にも一定の効果が示されるお薬です。

一般的に血糖値を下げる薬の摂取後は体重が増えることがありますが、GLP-1受容体作動薬にそのような傾向はみられません。

GLP-1受容体作動薬作用機序

血糖値を下げる作用の仕組み
GLP-1受容体作動薬は、インスリンの分泌を促進するだけではなく、グルカゴン抑制や、胃の内容物の排出を遅くする働きもあります。
これらの作用によって血糖値をコントロールします。

①インスリンの分泌を促進する

GLP-1受容体作動薬は膵臓のβ細胞に作用して、インスリンの分泌を促進します。
血糖値が高い時のみに働いて、血糖値が低い時には働きません。
そのため低血糖のリスクが少ないのが特徴です。

②グルカゴンの分泌を抑制する

膵臓のα細胞に作用して、グルカゴン(血糖を上昇させるホルモン)の分泌を抑制します。
この作用によって、肝臓でのグリコーゲン分解が抑えられて血糖値が上がるのを防ぎます。

③胃の内容物の排出を遅くする

胃の蠕動運動(ぜんどううんどう)を抑制します。
胃の内容物を排出するための伸縮です。

胃の内容筒の排出をゆっくりにすることで、食後の血糖値上昇を緩やかにします。
さらに、満腹感が持続し、食欲を抑える効果もあります。

④食欲を抑制する

脳の中枢神経に働きかけて、食欲を抑制します。
食欲を抑えることで、摂取カロリーが自然と減少して、体重減少につながります。

まとめると下記のような効果が期待できます。

  • 血糖値をコントロールする
  • 満腹感を持続する
  • 食欲を抑える

GLP-1受容体作動薬の種類


出典:GLP-1 受容体作動薬の基礎的・臨床的新知見
GLP-1受容体作動薬は先ほど説明した作用の持続時間に基づいて「短時間作用型」「長時間作用型」に分類されます。

短時間作用型のGLP-1受容体作動薬は、作用が24時間以内で、特に食後の血糖値コントロールに優れています。
長時間作用型はその名の通り、持続時間が長く、1日1回または週1回の投与が可能です。

作用型 一般名 商品名 投与頻度 投与方法
短時間作用型 エキセナチド バイエッタ
(2024年9月販売中止)
1日2回 皮下注射
ビデュリオン
(2022年5月販売中止)
週1回 皮下注射
リキシセナチド リキスミア 1日1回 皮下注射
長時間作用型 リラグルチド ビクトーザ 1日1回 皮下注射
サクセンダ 1日1回 皮下注射
デュラグルチド トルリシティ 週1回 皮下注射
セマグルチド オゼンピック 週1回 皮下注射
リベルサス 1日1回 経口薬
ウゴービ 1日1回 注射薬
チルゼパチド マンジャロ 週1回 皮下注射

それぞれ解説していきます。

エキセナチド

エキセナチドは短時間作用型に分類されるGLP-1受容体作動薬です。
1日2回投与のバイエッタと週1回投与のビデュリオンがアストラゼネカ社から販売されていました。

バイエッタは世界初のGLP-1受容体作動薬で2005年にアメリカで発売されました。
ビデュリオンは世界で初めて週1回投与型のGLP-1受容体作動薬で、2013年に日本で販売が開始されました。

※どちらの商品も2024年12月現在販売が中止されています。

リキシセナチド

リキシセナチドは食後の血糖値抑制効果が強い薬剤です。
リキスミア」という商品名です。
こちらの商品も2025年4月ごろに販売中止される予定です。

リラグルチド

リラグルチドは1日1回投与する持続性GLP-1受容体作動薬です。
ピクトーザ」や「サクセンダ」などの商品名で取り扱いされています。

ピクトーザは日本で初めてGLP-1受容体作動薬として承認されました。
サクセンダは2014年に世界で初めて抗肥満症薬としてFDA(米国食品医薬局)に承認されました。
その後、EU28ヵ国、韓国の食品医薬品安全処でも肥満薬として承認されています。

日本では糖尿病治療薬としてのみ、承認されており、肥満薬として使用する場合は自由診療となります。
▼サクセンダのダイエット効果については下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
GLP-1注射サクセンダとは?ダイエット効果と副作用を徹底解説!

デュラグルチド

デュラグルチドは主に「トリルシティ」という商品名で扱われています。
他のGLP-1受容体作動薬と同様な効果が期待できます。

特徴としてはトリルシティが週に1回投与のため、患者様の負担が少ないことがポイントです。

セマグルチド

セマグルチドは初の経口型GLP-1受容体作動薬の「リベルサス」や注射薬の「オゼンピック」があります。
2023年に日本で初めて抗肥満薬のGLP-1受容体作動薬として「ウゴービ」が承認されました。

肥満症に悩む方に保険激用でGLP-1受容体作動薬が処方されます。

肥満症と肥満で悩む方は違います。肥満症に該当するかはきちんとした診察が必要です。
▼ウゴービが保険適用されるかについては下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
知っておくべき肥満治療薬ウゴービを保険適用で使用するための条件
▼リベルサスのダイエットについては下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
リベルサスのダイエット効果と正しい飲み方、危険性や副作用を解説

チルゼパチド

チルセパチドはGLP-1受容体作動薬とGIP受容体作動薬の両方の作用を持つ初めての薬です。
マンジャロ」の商品名で扱われています。
GIPは、脂肪細胞に作用してレプチンという抗肥満作用を有するホルモンの分泌を促進します。

そのため、GLP単独よりも両方の作用を持つチルゼパチドはより強力に体重を抑制させると期待されています。

まとめ

まとめ
最後に、この記事のおさらいです。

  • GLP-1受容体作動薬は体内のホルモン「GLP-1」の分泌を促し、インスリン作用を助けて血糖値を下げる糖尿病治療薬
  • GLP-1の分泌によってインスリン作用が働くことで血糖値が下がる
  • 副作用は「胃腸障害」「低血糖」
  • ただしその他の糖尿病治療薬より低血糖のリスクは少ない
  • 注射薬にはビクトーザやトリルシティ、オザンピック、バイエッタ、リキスミアが、経口薬にはリベルサスがある

GLP-1受容体作動薬は、食後のインスリン分泌を促進することで血糖値を下げるお薬です。
処方や投与には医師の診断が必要です。

個人輸入や他人から譲り受けるなど、誤った使用方法をしないようにご注意ください。

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